FIM 機能的自立度評価法とは
正式名称は、Functional Independence Measure、略語はFIM(フィム)、日本語表記 では機能的自立度評価法と称されます。現場では、FIM(フィム)と呼ばれることが多いです。
FIMは、ADLの評価に用いられ、「している ADL」 を評価をします。
評価は、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、医師ほか、全職種が採点可能です。対象者はすべてのリハビリテーション対象患者です。
特徴としては、動作項目のほかに表出、問題解決などの認知項目も含まれていることではないかと思います。
メリットとしては、介助量に客観性をもたせることができることですが、逆にデメリットしては、評価が正確にできるようになるために、一定の熟練を要することです。
ADLの評価する関連する評価法は他にバーセルインデックス(BI)があります。
FIM(機能的自立度評価法)でわかること
FIM は、『脳卒中治療ガイドライン 2009』で「汎用され、信頼性・妥当性が検証されている評価尺度」として用いることが勧められています(グレード B)。
ADL情報を素早く正確に把握できるFIMを多職種で採点することで、「できる ADL」と「している ADL」との乖離に気づきやすくなります。
また点数の向上によって、患者やスタッフのモチベーションの向上につながります。
リハビリテーションの臨床指標として、FIMの変化を期間で割ったFIM効率が提唱されています。
FIMの評価方法
FIM は介護量の測定を目的として、全18項目を、介護の度合いに応じて1から7点の7段階で評価します。
運動項目は13 項目、認知項目は5項目と大きく分けられています。
運動項目
運動項目では、セルフケア(食事、整容、清拭、更衣・上半身、更衣・下半身、トイレ動作)、排泄コントロール(排尿管理、排便管理)、移乗(ベッド・椅子・車いす、トイレ、浴槽・シャワー)、移動(歩行・車いす、階段)があります。
認知項目
認知項目では、コミュニケーション(理解、表出)、社会的認知(社会的交流、問題解決、記憶)があります。
FIMの採点
FIMの採点は、まず、介助者の要・不要によって5点以下と6点以上に分けられます。
6点と7点の違いは、補助具の有無や要する時間などです。
5 点は監視や促しのみで行える場合につけ、4点以下は、介護の負担度合いに応じて25%きざみで採点します。例えば、介助者が 25% 以上50% 未満介助している場合は 3点となります。
運動項目も認知項目も採点の方法は同じですが、認知項目の「介助」と「促し」は明確に区別できないため、10% 未満の介助までを5点と評価するようにします。
採点の基本概念
7点:完全自立
介助者:不要
6点:修正自立
介助者:不要
介助量:通常の3倍以上の時間がかかる・福祉用具等の使用
5点:監視
介助者:必要
介助量:監視・促し・準備のみ
4点 最少介助
介助者:必要
介助量:25%以下(3/4の動作が可能=75%自立 =4点)
※人が触れている必要があれば4点以下
3点 中等度介助
介助者:必要
介助量:25-50%未満
2点 最大介助
介助者:必要
介助量:50-75%未満
1点 全介助
介助者:必要
介助量:75%以上
運動項目、認知項目の採点ポイント
FIMの採点ポイントの詳細は下記のst-medicaさんのサイトに記載されていますのでご参照下さい↓
FIM運動項目の採点ポイント
FIM認知項目の採点ポイント
参考文献
1)千野直一ほか編.脳卒中患者の機能評価:SIAS と FIM の実際.東京,シュプリンガー・ジャパン,1997,157p.
2)日本脳卒中学会ホームページ,(http://www.jsts.gr.jp/).