はじめに
認知症の方は、目の前にある食事の認識もはっきり出来なくなることがあります。
食事を提供する側としては、栄養のバランスを考慮して様々な料理を出しているのに、全く手を付けずに残す料理があることが続くと、料理をする気も萎えてきますよね。
アルツハイマー病などの認知症では、目の前に様々な食器や食物があっても、全てに注意を払うことができなくなります。
認知症が進行すると、注意が及ぶ範囲・見える範囲が狭まり、より重症になると、目の前の小さな範囲のものしか分からなくなってしまいます。
様々な料理に注意を払うことが出来なくなるのです。横にいて注意を促しても、なかなか気付いてもらえません。
食事の食べ残しに対する対処方法
様々な食事に注意が向けにくくなるという症状に対しては、その重症度によって対処の仕方が変わってきます。
注意を促せばわかる時
声をかければある程度注意が向くならば、『ここにおかずがありますよ』と具体的に声掛けをしていくことを試してみてください。
食事の途中にごはんやおかず、汁物の配置を変えてみるのもひとつの手です。
本人の注意がむいている視界に食べて欲しい料理を持っていきながら、声をかけることでごはんを食べることを促すことが出来ます。
注意を促しても難しい時
認知症が進み、声をかけても注意が向かなくなることがあります。
こうなると、食事の一部に注意が向かないというだけでなく、食事全体に注意が向かなくこともあります。
食べるということがどういうことなのかがわからなくなる時期でもあるので、食事の環境を見直す必要があります。
注意が少しでも食事に向くように、注意がそれないような環境づくりを意識してください。
口に意識が向くよう、口周囲のマッサージや、座り直して姿勢を整え、注意が目の前の食事に向くようにすることも有効です。
食事中怒ってしまう時
注意を促すと怒ったりすることがあります。
認知症の中には、起こりやすい性質(易怒性)を持つことがあるからです。
本人は分かっているつもりであったり、分かっていることと分からなくなっていることが混乱するために怒りとなることが考えられます。
このような場合は、怒りを出さないように少しずつ料理を小出しにしていくことが良いでしょう。
ひとつを目の前に出し、食べたら下げて次の料理を出す…というように順番に料理を提供することが有効です。
一点集中食いしてしまう時
ごはんだけ、おかずだけ、汁だけ…というように、順序立てて食事を取れなくなることがあります。
なにかばかりになってしまい、残すのであれば問題ですが、最終的にすべてを完食できるのであれば寛容な気持ちでその食べ方を見守るというのもひとつの手です。
なにかを残してしまうようであれば、食器に食事を盛り付けるのではなく、お弁当箱にいれて食事をひとつのまとまりのように見せるのも有効です。
おかずばかり食べてしまい、ご飯を残すというのであれば、おかずとおかずの間にごはんを入れてごはんに注意が向くようにお弁当を盛り付けてみると注意が向けやすくなることもあります。
家庭での手軽な対処方法
在宅生活の上では、細かく料理を提供したりすることは難しいことも多々あります。
そのような時には、全ての料理を丼のようにひとつにまとめてしまえば全て完食しやすくなります。
認知症の人にとっては、大きなお皿も小さなお皿も大差がありません。
見た目の問題はありますが、栄養バランスを考えて様々な料理をしっかりと食べてほしいという時には、最も手軽な方法です。
しかし、丼をかきこむように食べてしまい、逆に誤嚥してしまう可能性も出てきます。
慌てて食べてしまうことで、肺へ食物が入ってしまうことです。
誤嚥を予防するためには、一食を小丼にわけて提供するのもひとつの手です。
おわりに
認知症の人にとっては、食事であっても様々なものに注意を払うことは難しいことです。
しっかりと食べてもらうためにも、注意がそれないような環境づくり、食事の提供の仕方、声のかけ方を意識して、食事に向き合えるようにしていきましょう。
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