意識障害とは?

はじめに

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意識とは、脳が活動することです。
ヒトがまともに活動をしようとすると、覚醒度(意識水準)が十分に高くなければ出来ません。
脳の活動が下がってくると、意識状態も低下します。
病気や事故、加齢によって脳に器質的な損傷や萎縮が起こることで、覚醒度が下がってしまいます。
意識の機能には、深さ(意識レベル/意識水準)と広がり(質/内容)があります。
意識の深さは、覚醒度に応じて明識困難状態・意識混濁・傾眠・昏睡というように、覚醒度の深さによって分類されます。
意識の広がりは、意識変容状態とも呼ばれ、思考力・注意力・判断力などの精神機能が狭小化していく病態について分類されます。
意識障害は、睡眠時や寝起きなどの意識状態とは別物で、あくまで病的なものだけを指しますのでご注意ください。

覚醒度の分類

まずは意識の深さである覚醒度の分類です。

明識困難状態

覚醒度としては最も軽い状態を指します。
思考力・注意力・判断力が不安定な状態を指します。
例) ふと気づくとボーッとしてしまう。声をかければすぐに反応はするものの、一人になると意識がどこかに行ってしまったかのようにぼーっとしている様子が見られる状態。

意識混濁

見当識(日時や場所、人などのごくごく当たり前の判断力)が不安定で、明識困難状態よりもさらに思考力・注意力・判断力が低下している状態を指します。混迷ということもあります。
例) 何度説明してもすぐにぼんやりしてしまい、何日何時、ここはどこというような説明を覚えられないような状態。

傾眠

外部から何らかの刺激がないと眠ってしまう状態を指します。
例) 声をかけたら応答するような様子は見られるが、ちょっと気を抜くと寝てしまう。呼びかけには一応反応はするものの、的を得た会話はあまり継続しないで、会話の最中でも気付くと目が閉じているというようなこともある。

昏睡

外部からの刺激に対して全く反応がなくなってしまった状態を指します。
痛み刺激などに対し、体を動かしたりするような反応がある場合は半昏睡とも言います。
その中でも、精神活動が失われ、身体維持活動のみはかろうじて行われているような状態を植物状態(遷延性意識障害・PVS)といいます。
昏睡状態であっても、外部刺激に対して小さなものでも反応があれば最小意識状態(MCS)と言います。
これらの判断は、functional MRI等で音などの刺激を与えた時に脳に反応があるかどうかを見て判断されます。

意識変容状態の分類

次に意識の広がりの障害である意識変容状態についての分類です。

せん妄

せん妄とは、覚醒度には特に問題はないものの、思考力・注意力・判断力などの状態が低下していることで気付かれる病態です。
興奮し、徘徊をしたり大声を出したり急に泣いたり笑ったりするような異常行動が見られます。
幻視や幻聴などの幻覚症状が伴い、精神的な興奮が高まるような状態を過活動性せん妄、逆に不活発な状態が目立つ状態を低活動性せん妄と言います。
アルコール、薬物中毒、種々の代謝性疾患などでこのような症状が起こることがあります。
幻覚が生じるまでに至らない程度ならば、錯乱と言われます。

無動性無言

目は開いていて、どこかをみているような様子は見られるのに全く喋らず呼びかけに対しての反応もないような状態を無動性無言といいます。
身体を自分から動かすこともないのですが、音のする方に目を向けたり唇や口の中を刺激すると咀嚼するような動きをしたりすることはあります。

失外套症候群

呼びかけると目を開けたり、なにか反応を示してくれるものの、自分から目的のある行動や会話をすることはないような状態を示します。
無動性無言とは違い、ある程度体を動かすことはするのが特徴です。
大脳の広範囲の障害の慢性期に起こりやすい症状です。

意識障害の診断方法

意識障害の診断は、その時の病態をみて判断されます。
日本で最もよく使われている評価方法は、Japan Coma Scale(JCS:3-3-9度方式)と呼ばれるもので、急性期の現場などではよく飛び交う言葉です。
『意識レベルⅢ-100』などというようなセリフは、ドラマなどでもよく聞きますね。
JCSは、Ⅰが覚醒しているが何らかの問題がある場合(明識困難状態や意識混濁)、Ⅱが刺激をすると覚醒する状態(傾眠)、Ⅲが刺激をしても覚醒しない状態(昏睡)と大きく別れ、更にそれを詳細に3つに分類しています。

精神医学の領域では、JCSにおいてはⅠの範囲での意識障害が取り扱われることが多く、その中でも詳細な評価が必要になります。
精神活動全般(知覚・感覚・認知・表象・思考・記憶・感情・意欲・推論・判断など)に一貫性があるかどうかを注意して見る必要があります。
意識レベルだけでなく、意識変容状態にも注意を払わなければいけません。
特にせん妄については、①急激にその症状が出たりするようなことがあるのか、②急に起こるならばいつ起こりやすいのか(日内変動・日間変動)、③一過性なのかそれとも長期的に続いているのか…というような点についても評価する必要があります。
症状も経過に応じて変化することが多いためじっくりみていく必要があります。

また、認知症の多くにせん妄のような症状が現れますが、認知症の場合症状の進行は緩やかで徐々に症状がひどくなっていくのに対し、脳に器質的な障害が起こって起こるせん妄は突発的に起こったり落ち着いたりするような症状になることが多いです。

また、意識障害をうつ病も似たような症状を呈することがあるので注意が必要です。
意識障害とうつ病の違いは、抑うつ気分などのうつ症状がないこと、注意障害などがおこっているかどうかが判別基準となります。

意識障害の対応方法

意識障害は、脳などの中枢神経系に何らかの器質的な損傷が起こり症状が現れます。
そのため、根本的な治療が優先される必要があり、そちらが回復しなければ意識障害の回復はなかなか見込めません。
しかしながら、せん妄の場合は心理的な因子(うつや不安)や、環境因子(アルコールや薬物など)がその症状を促進している場合があるため、そちらの調整をすることが有効な場合もあります。
うつや不安が強いのであれば、それらを起こしている問題の解決や薬の調整などが必要になるかもしれません。
電解質異常、脱水、低栄養、アルコールや薬物の乱用などがそれらの症状を引き起こすのであれば、栄養状態を整えたり、アルコールや薬物からの脱却を図るようにしていきましょう。

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