改訂水飲みテスト(MWST)とは
改訂水飲みテスト(MWST)は3mLの冷水を嚥下させて、嚥下運動およびそのプロフィールにより、咽頭期障害を評価する方法です。 口腔内に冷水を入れる際に、咽頭に直接流れ込むのを防ぐため、舌背には注がずにかならず口腔底に冷水を入れてから嚥下させます。頚部聴診を同時に行うと評価が正確になります。評価は5点満点の5段階です。
改訂水飲みテスト(MWST)の評価方法
- シリンジで冷水を3mL計量します。
- 利き手でシリンジを持ち、逆手の指をRSSTの要領で患者の舌骨と甲状軟骨上に置きまます。
- 口腔底にゆっくりと水を入れて嚥下するように指示します。
- 嚥下を触診で確認します。
- 嚥下がなく無反応の場合は、評価不能となります。
- 嚥下がなく、むせなどの反応があれば1点となります。
- 嚥下があり、著しいむせ込み(呼吸切迫)を認めたら2点となります。
- 嚥下があり、むせを認めたら3点となります。
- 嚥下が起こった後に「エー」や「アー」などと発声させて湿性嗄声の有無を確認します。
- 湿性嗄声があれば3点で終了します。
- 湿性嗄声がなければ、反復嚥下を2回行うように指示します。
- 30秒以内に2回できなければ4点で終了します。
- 30秒以内に3回可能であれば、再度はじめから検査を施行します。
- 最大で2回繰り返し、合計3回の施行に問題がなければ、5点で評価終了します。
改訂水飲みテスト(MWST)記載方法
記載は、MWSTを施行した場合は、3mLで施行したことを明記します。 3mL以外の量を施行した場合は、その量を明記してMWSTと区別します。 MWSTを行ってから、より負荷の大きい水飲みテストを行った場合には、その量を記載します。 MWSTで評価不能となった場合は、その旨を記載します。 カットオフ値を3点とすると、誤嚥有無判別の感度は0.70で、特異度は0.88とされています。
施行時の注意点
MWSTの注意点としては、口腔内に水を入れる際に咽頭に直接流れ込んでむせてしまっては、実際の機能よりも評価の点数が悪くなってしまうために、かならず舌の下に水を入れてから嚥下させるようにします。 4点以上であれば、最大でさらに2回繰り返して、もっとも悪い場合を評点とします。上手く嚥下できた場合、繰り返して行うことがこのテストの重要なポイントとなります。 理由としては、たまたま一度だけうまく飲み込めた場合を除外することができます。 また、この評価基準のなかには大きく分けて、「飲み込まない」「呼吸切迫」「むせ」「湿性嗄声」という項目があります。 この評価の仕方はスクリーニングのときだけではなく、実際に食事を食べているときの評価にも大きく役立つためしっかりと観察する必要があります。
MWSTは意識障害や患者の嚥下状態によっては、トロミ水を使用して評価することがあります。 そのため、とろみ水で評価する場合は、どの程度の濃度を使用したのかを明記するようにします。 トロミの程度以外にも、温度(常温か、冷たいとろみ水かなどの情報)、体位などを記載することが評価する上では重要となります。