指鼻指試験(鼻指鼻試験)とは
指鼻指試験は、小脳・脳幹の障害をきたした患者様、あるいは小脳・脳幹部の障害を疑われる場合に行われる検査です。
指鼻指試験では、運動失調の有無を観察します。
運動失調は様々で、随意運動を目的のところで止めることができない測定障害、各筋の収縮のタイミングがずれることによりスムーズな運動ができない運動分解、迅速でリズミカルな運動ができない変換運動障害、目的物に近づくにつれ四肢の先端の揺れが強くなる企図振戦等があります。
指鼻指試験は、それらすべての反応をとらえ評価するために考案された検査法です。深部感覚障害でも異常を示します。
指鼻指(鼻指鼻)試験は、患者様と対座し、患者様の指で、患者様自身の鼻と、検者の指を交互にできるだけ早くタッチしていただきます。
そして、目的に沿ったスムーズな動きができない場合や、指が目標からずれてきちんと触れない場合は運動失調を疑います。
指鼻指(鼻指鼻)試験の手順
- 患者様と向き合うように対座します。患者様と検者のほぼ中間位置で検査を行うようにします。仰臥位の場合は患者の前に検者の指を出すようにします。
- 患者様に示指(第二指)を出すよう指示し、自分の鼻を指で触るよう指示します。
- 次に、検者の指に触れるよう指示し、再び、自分の鼻にタッチするよう指示します。
- これを素早く行うよう指示し、その指の動きを観察します。反対の手でも同様に行います。
協調運動の異常がある場合は、自分の鼻にうまく触れられない場合があります。また、検者の指に触れられなかったり、スムーズに行えず指がぶれたりします。
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指鼻指(鼻指鼻)試験の注意点
患者様との距離は、患者の腕がある程度伸びる距離のほうが顕著に現れやすく、逆に近すぎるとわかりにくいことがあるので、注意が必要です。
また、同じ位置に指を置くと、視覚による補正ができるようになり、失調症状がわかりにくくなることがあるため、検者は指を常に同じ位置に置くのではなく、患者様が自分の鼻に触れたときに検者の指の位置を少しずつ移動させるようにします。
失調が重度の場合,患者はうまく鼻をタッチすることができず眼を突く恐れがあるため,その際は鼻先のかわりに下顎(オトガイ部)で検査します。