MMT(徒手筋力テスト)とは
MMTはManual muscle testの略で、日本語では徒手筋力テストと呼ばれています。 骨関節疾患、神経筋疾患、廃用性筋萎縮、末梢神経障害などによって筋力低下を呈する方の筋力評価に用いられています。医師、理学療法士、作業療法士が主に評価を行います。MMTは徒手的に簡便に行える筋力テストとして、本邦でも多く用いられています。 判定には 0(zero)〜5(normal)の 6 段階の順序尺度を用います。
MMTの判定基準
段階5 / normal(N)
運動可能範囲を完全に動かすことが可能で、最大の抵抗を加えても、それに抗して最終運動域を保持することができる。
段階4 / good(G)
運動可能範囲を完全に動かすことが可能で、強力な抵抗を加えてもそれに抗して最終運動域を保持することができる。最大の抵抗に対しては抗し切れない。
段階3 / fair(F)
重力の抵抗だけに抗して運動可能範囲を完全に動かすことが可能で、抵抗を加えられれば、その抵抗がどんな弱いものであっても抗することができない。
段階2 / poor(P)
重力の影響を最小にした肢位であれば、運動可能範囲を完全に動かすことができる。
段階1 / trace(T)
テストする運動に関与する筋または筋群に、筋収縮活動が目に見えるか手で触知できる。この際、運動は起こらない。 0 / zero(Z) 筋収縮活動が目に見えず、手でも触知できない。
MMTの評価用紙はこちらからダウンロードできます。
MMT記録用紙(下肢・体幹)-第8版-
MMT記録用紙(下肢・体幹).新・徒手筋力検査法原著8版に準じたMMT評価用紙の下肢・体幹編.支配神経・髄節・ ...
MMTでわかること
MMTの結果は、最大随意収縮時の筋力の大きさを表します。診断面では障害されている末梢神経とその障害の程度、廃用性筋萎縮の程度、脊髄損傷では損傷レベルの把握などに用いられます。運動機能面では起居動作や ADL の遂行状態を推察したり、改善すべき筋力低下を特定することによって、具体的な介入方法の立案に役立てることもできます。また初回評価時からの経時的変化をたどることで、介入方法の効果判定も可能です。
MMTのメリット・デメリット
メリット
- 特別な検査機器・器具を必要とせず、実施場所の制限がない点。
デメリット
- 評価者の主観によるため、多少なりとも誤差は生じる点。
- 患者の意欲低下や理解力が乏しい場合には、正確な評価が困難な点。
- 患者の状態によっては肢位が制限され、評価困難なことがある点。
- 中枢神経麻痺への適用には注意を要する点。