はじめに
被影響性とは、影響されやすさという意味です。
人の言葉にすぐに影響されたり、目にしたことは全て鵜呑みにしたりしてしまいます。
キャッチセールスや詐欺的な手法、悪徳商法などにもすぐに引っかかったり、友達から頼み事をされるとすべて引き受けてしまって後から全てこなせず困ったり…というようなことを引き起こします。
前頭側頭葉の障害で起こりやすい症状ですが、被影響性の拡大を起こした人は日常生活でも様々な問題を起こしやすいです。
被影響性が拡大した方の症状
被影響性が拡大した人は、誰かがいうことにすぐに影響されてしまうため、立場や金銭的な問題を引き起こしやすいです。
誰がみても問題がありそうな商品を高額で買ってしまう、詐欺に引っかかりやすい、カルト宗教に勧誘されて言われるがままに入信してしまう、相手の真似をすぐにする、人が持っているものはどれも欲しくなってしまう…などといった症状を引き起こします。
家族や身近な人の言うことは聞かないのに、初対面の人の言うことは逆に即信用してしまうような節があります。
商品と価格が見合っていると判断できない、おいしい話にすぐに影響されてしまう、断りたくても断るためのコミュニケーションが取れない、空気が読めない、簡単に人を信じてしまう…というような症状の結果として、上記のような問題のある行動につながってしまいます。
これらは、判断力の低下や対人技能の拙劣さなどにより起こってくる症状と考えられています。
結果として、対人関係に問題が起こったり、大きな損害を背負ってしまったり、時にして法に触れるような事態を引き起こしてしまいます。
以上のように、被影響性の拡大は、社会生活の上で大きなトラブルを起こしやすい症状です。
被影響性が拡大した方への対応方法
とにかく『自身で判断しない』『新しいことは必ず信頼できる家族などに相談してから返答する』というように約束します。
困ったときには、即連絡が出来るように連絡方法を決めておくようにしてください。
基本的には、訪問販売等には出ない、非通知や知らない電話番号も出ない、来客時にはインターホンで確認を必ずする…などというルールを決めておくようにし、問題を引き起こしそうな原因との接触を極力避けるように調整してください。
トラブルを引き起こさないためにも、クレジットカードや、キャッシュカード、通帳印鑑など大きなお金を動かしてしまいそうなものは家族が管理してください。
本人の所持金は常に必要最小限にし、お金に関するトラブルを簡単に起こさないようにします。
インターネットなどはアクセス制限をしたり、携帯電話も登録以外は着信拒否したりして身を守るようにしてください。
職場や学校では、ある程度避けて通れない場合もあるので、上司や同僚、先生などにもそういった影響されやすい状態を説明し、何かを依頼する際には必ず上司や先生を通してから依頼する…というような決まり事を作っておいてください。
社会との関わりが増えれば増えるほど、こういった影響されやすい場面に出くわすことが増えるため、注意をしていても引っかかってしまうことがあります。
そういった時には、クーリングオフ制度の利用や消費生活センターに連絡し相談してみてください。
金銭的なトラブルが増えてしまう場合や、危険性が高い場合は成年後見制度の利用などを検討しなければいけないケースもあります。
後見人制度を利用し、後見人に金銭や財産管理をしてもらわなければなりません。何か問題が起きてしまった場合は、自身がどんなことをしたためにどんな問題が起こっているのかということをきちんと理解してもらい、今後どうしなければいけないかの反省材料にし、次回からのルール作りに役立てるようにします。
家族などから言ってもなかなか納得を得られないことも多いので、第三者に入ってもらい、現状把握とやってしまった失敗の反省、そして今後の約束やルール設定までを手伝ってもらったほうが効果的です。
それ以外にも、家計簿のようなもので金銭管理をしたり、その日あったことを日記にし、家族などがその日の行動や出来事を正確に把握して、今後大きなトラブルにつながらないように注意するのもひとつの手です。
おわりに
高次脳機能障害により起こる被影響性の拡大は、大きな社会的トラブルを招きかねない症状です。
周囲の人も本人の行動には十分気をつける必要がありますが、様々なことに警戒を持って動いてもらえるよう少しでも意識づけさせることも大切です。
大きな被害にならないように本人も周囲も必要以上と思うくらいの注意を払うようにし、大きなトラブルを引き起こさないように注意してください。
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