遂行機能障害の症状



はじめに

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遂行機能障害とは一体どのようなものかご存知でしょうか。
一般的に、記憶や注意などは普段から使う言葉でもありますので、記憶障害や注意障害がどのようなものかなんとなく分かっていただけるかとは思いますが、遂行機能というと少し難しく感じる方もいるかもしれません。

『遂行機能』とは、その名の通り、「何かの目的を達成するために一連の行動を手順よく行う」ことを指します。
それが侵された状態が遂行機能障害と言います。

普段から当たり前と思ってやっているひとつひとつの動作全てに遂行機能が関わっていて、これに障害が起こるととても困ったことになります。

遂行機能障害の一例

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例えば、洗濯をする一連の動作を思い浮かべてください。
まずは、「洗濯物が溜まってきたから洗濯をしよう」と思いつくところから始まります。
一番最初にする行動は洗濯物を分別します。
洗濯機で洗濯できるもの、洗剤を替えなければいけないもの、色落ちしないかどうかなどを確認して、ネットに入れなければいけないような素材のものなどを更に分別します。

こうして、洗濯表示に合わせて洗濯方法を選ぶプランニングをします。
一緒に洗えるものを洗濯機へ入れ、適切な洗剤を投入します。
その洗濯物にあった洗濯コースを選び、洗濯機を動かします。

手洗いしなければならないものや、漬け洗いが必要なもの、クリーニングに出さなければいけないものなどそれぞれ対応します。
洗濯機が止まったら、次は干していきます。
ハンガーに掛けるもの、物干し竿に掛けるもの、平置きで乾かすものなど、ここでも様々な分類をしながらそれらの行動をしていかなければなりません。

洗濯物が乾いたら、畳みます。
家族の洗濯物を分類し、更に下着やトップス、ボトムス、タオルやシーツなどのリネン系などといった具合に分類してから畳んだら、タンスやクローゼットなどに片付けていきます。
途中で、縮んだり色落ちしたりした洗濯物を発見したとしたら、次回からそれの洗い方を変えたり分類方法を変えたりしなければいけないと考えます。

こうした一連の動作は、普段当たり前のようにこなしています。
特に何も考えず、実行している動作ですが、目標設定(洗濯をしよう)→計画立案(洗濯の分類)→実行(洗濯機を使ったり、干したり畳んでから片付ける)→評価・判断(失敗した洗濯物から次回への教訓とする)といった手順により、目標(洗濯を完了する)を達成する能力が遂行機能です。

当たり前の動作ではありますが、脳に何らかのダメージが起こり、こういった一連の動作が難しくなることを遂行機能障害と言います。

遂行機能障害の障害像

遂行機能障害には以下のような症状が見られます。

● 計画がうまく実行出来ない
● 段取りがきちんと取れない、要領が悪くなる
● 自分で物事を決めることが出来ない
● 物事を始めることが出来ない

このような問題が起こってくることが遂行機能障害といい、記憶の障害や注意の障害とは異なる症状を呈します。
記憶や注意が侵されていなくても遂行機能に問題が起こってくることは多々あります。
遂行機能障害とは、記憶や注意などといった認知機能をトータルに使いこなすことが出来なくなる障害というと分かりやすいかもしれません。

遂行機能とは、身近な物事を実行するための問題解決能力だったり、環境適応力だったりします。
それらが低下している状態がまさに遂行機能障害なのです。

人が順序立てて物事を実行できるのは、遂行機能が他の動物よりも発達しているからといっても過言ではありません。

人の大脳皮質は、他の動物に比べて特に前頭葉部分が発達しています。
前頭葉とは、脳の半分より前の方にある部分で、進化とともにここが特に発達してきました。
遂行機能障害は、前頭葉に損傷があると起こりやすい障害です。

ただ、前頭葉の障害により起こりやすいとは言えども、脳の機能は様々な部位が密接に関わりながら連動しているので、前頭葉以外の部分に損傷が起こってもこういった遂行機能に問題が起こることがあります。

一般的に、遂行機能障害は前頭葉の問題だと考えられがちではありますが、遂行機能障害=前頭葉機能障害ではなく、遂行機能障害として認識してもらったほうが適切だといえます。


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