重度失語症検査

重度失語症検査とは

重度失語症検査は、重度の失語症患者対して、残存能力の評価と治療的アプローチの手がかりを得るために行われる検査です。 導入部と非言語基礎課題、非言語記号課題、言語課題の 3 つの Part に分かれており、必要な Part だけの実施も可能です。下位検査の項目も 5 つ前後と少なく、実施時間を短縮するなど、患者の負担を軽減する工夫がされています。 教示はあらゆる手段を使用して良いとされており、また中止基準が設けられておらず、検査者の判断・力量に左右される可能性があります。

評価の方法

検査は、導入部と、標準化された Part ⅠⅡⅢの 3 部から構成され、患者の残存能力を調べるのに必要なPartだけを検査することができます。

1.導入部

下位検査は、「①あいさつ」「②名前」「③年齢」「④住所」で、挨拶や基本的な個人情報を、口頭または代償手段によって表出できるかを調べます。 導入部では、面接時の発語能力や代償手段の使用能力、Yes-No反応、表出能力を量化でき、実用的コミュニケーション改善の指標になります。

2.Part Ⅰ:非言語基礎課題

コミュニケーションに影響を及ぼすさまざまな非言語的関連能力や、基本的な非言語的記号能力を調べために行います。 「①やりとり(腕相撲or風船バレーでのやり取り行動、物品を介しての受け取り・手渡し)」「②指さし(窓など空間内事物の指さしの模倣、指さしたものを渡す、自分からの指さし)」「③マッチング(実物と実物のマッチング、実物と絵のマッチング)」「④身体動作(口唇、舌の動作模倣や、首・体幹・上肢・手指にかかわる身体動作の模倣ができるかどうか)」の 4 種の領域によって構成されています。 Part Ⅰの結果からは、訓練の糸口を見つけることができます。 また身体動作の観察から、失行の有無に関しても把握することができます。

3.Part Ⅱ:非言語記号課題

非言語的なコミュニケーション手段として訓練対象とされるジェスチャーや描画能力、非言語レベルでの意味理解を調べるために行います。 「①物品使用」「②記号の理解」「③ジェスチャー表出」「④描画」「⑤意味関連の理解」の 5 種の領域から構成されています。 Part Ⅱでは、コミュニケーション手段としてのジェスチャーや描画に関する能力がわかります。

4.Part Ⅲ:言語課題

通常の失語症検査よりやさしいレベルの言語課題と、歌やお金、数詞の認知など、言語周辺領域の能力を、「①聴覚的理解」「②読みの理解」「③系列語・母音」「④音読」「⑤発語」「⑥復唱」「⑦書字」「⑧数・時計の理解」の 8 種の領域で評価します。 Part Ⅲでは言語能力(聞く、読む、話す、書く)に加え、数・時計・金銭など、日常生活で必要な能力を知ることができます。

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