MMSE 認知機能障害のスクリーニング検査

MMSE (Mini-mental state examination)とは

MMSEは、認知機能の低下が疑われる者に対して行われる、認知機能障害のスクリーニング検査です。動作性検査を含み、認知機能を多面的に評価することができます。簡便で、短時間(10 〜15 分程度)で行え、ベッドサイドでも実施可能です。意識障害がある方や、言語障害、運動障害、視覚や聴覚に問題がある場合に、得点に影響を与える可能性があるため、実施の際は注意が必要です。2012 年には、MMSE の標準化されたMMSE-J(日本版MMSE)が出版されています。

評価用紙はこちらからダウンロードできます。

http://yoshiya-hasegawa.com/life_doctor/mmse.pdf

評価方法

設問1(時間の見当識)

「年、季節、曜日、月、日」について尋ねます。

設問2(場所の見当識)

現在いる「県、市、病院、階、地方」について尋ねます。地域や施設によって置き換えても良いと言われています。

設問3(記銘)

相互に無関係な物品名3 個を1 秒につき1 個ずつ提示し、3個の物品名すべてを提示したの ち、復唱して頂きます。 採点するのは1回目のみですが、後に行う設問5のために、3個とも復唱できなければ物品 名の提示と復唱を繰り返し行います(6 回まで)。

設問4(注意と計算)

100 から順に7 を引くよう指示します(5 回まで)。計算を始めたら「93 から7 を引くと……」「それから7 を引いて……」などと言ってはいけません。 必要があれば、「続けてください」「繰り返してください」程度の促しのみ行います。もし被検者がこの作業ができない、もしくはしたがらない場合は、「フジノヤマ」を逆唱させます。正しい位置にある文字の数を得点とします。

設問5(遅延再生)

設問3 で提示した3 個の物品名について、再度尋ねます。

設問6(呼称)

腕時計を見せて名前を尋ねます。鉛筆も同様に尋ねます。

設問7(復唱)

検査者が文章を読み、それを被検者に反復させます(1 回のみ)。

設問8(段階命令)

白紙を被検者の前に置き、3段階の指示を与えます。 すべての指示を言い終えてから実施して頂き、各段階ごとに正しく作業した場合に1 点ず つ与えるようにします。

設問9(読字)

「眼を閉じなさい」と書かれた紙を示し、その通りにするように指示します。被検者が実際に眼を閉じた場合のみ、得点を与えるようにします。

設問10(書字)

白紙を被検者の前に置き、文章を書くよう指示します。自発的な文章でなければならず、例文などを与えてはいけません。文法や読点は不正確でも構いません。

設問11(図形模写)

交差する2 つの五角形が描かれた手本を示し、それを模写させます。2つの五角形は交差していなければなりません。線の震えなどは無視するようにします。

検査結果の解釈

満点は 30 点で、27 〜 30 点が「正常」、22 〜 26 点で「軽度認知障害の疑い」、21 点以下で「認知障害あり」と判断する基準になります(文献によっては 23 〜 24 点以下を認知障害ありとするものもあります)。

スクリーニングとして用いるため、認知症などの検出に役立ち、経時的に使用することによって時間の経過に伴う認知的変化をとらえることも可能です。

また、得点だけを問題とするのではなく、障害が明らかな項目に注意を払うことも大切です。

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