BADS 遂行機能検査

BADSとは

BADS(バッズ)は、日常生活における遂行機能の問題を検出するために使用される検査です。 従来の検査バッテリーでは不十分だった遂行機能障害を、種々な問題解決課 題を組み合わせて、総合的に評価できるように作成されています。 対象者は、脳血管障害や頭部外傷、低酸素脳症などによる脳損傷者となります。 とくに前頭葉損傷者をターゲットにしていますが、精神障害への利用も論じられています。 作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士が主に評価を行います。

評価の方法

BADSは、1.規則変換カード検査、2.行為計画検査、3.鍵探し検査、4.時間判断検査、5.動物園地図検査、6.修正6要素検査の6つ下位検査と、 1 つの質問紙から構成されています。 24点満点で採点され、「障害あり」「境界」「平均」「優秀」などの障害区分に評価されます。

1.規則変換カード検査

規則変換カード検査は2つの課題があり、提示されたカードに対し、第1施行では、赤なら「はい」、黒なら「いいえ」と答えます。第2施行では、前のカードと同じ色なら「はい」、異なる色なら「いいえ」と答えて頂く検査です。 第1施行で覚えた規則を、第2施行で柔軟に変更することが要求される課題であり、注意や概念の変換課題とされる検査です。

2.行為計画検査

行為計画検査は、台や水の入った蓋付ビーカー、コルクの入った管、先の曲がった針金、プラスチック容器およびねじ蓋を使用して行います。 台やビーカー、管を持ち上げたり、ビーカーの蓋に直接手を触れてはいけないという規則を守り、コルクを管の外に出さなければならない課題の検査です。 課題を達成するためにはいくつかの段階をクリアする必要があり、自らの行為を系列立てる計画能力や、自己監視能力が必要とされるといわれています。

3.鍵探し検査

紙面上の四角を野原と仮定して、その中のどこかで鍵をなくしたとして、検者は、野原の中の鍵が必ず見つけ出せるような道筋を、下の点から線で描き示すよう指示します。探し出すパターンによって採点項目が定められています。自らの行動計画と、効果的に探す能力などを必要とする検査です。

4.時間判断検査

4つの質問に対し、どのくらい時間がかかるかを見積って回答する課題です。質問は日常的な内容ですが、明確な解は存在せず、常識的な範囲 で答えを推定する必要があります。

5.動物園地図検査

2枚の動物園地図を使用します。リストに示されたすべての箇所を、いくつもの規則を守りつつ道筋を考えて線で描いていく課題となります。 第1施行では、ヒントなしで道筋を考え、第2施行ではヒントがあらかじめ提示されており、指 示どおり道筋を描き、2回の結果から採点します。第1施行のほうが高難度であり、情報を組織化・計画する能力や自己監視能力を必要とします。第2施行では、指示に従って行動する能力を見ることができます。

6.修正 6 要素検査

絵の書称課題、計算問題、口述課題の3つのカテゴリーの課題が各2種類ずつ、合計6課題から構成されている検査です。 同種類の課題を続けて行ってはいけないという規則を守りつつ、10分間で6つの課題すべてに手をつけるよう、うまく作業を組み立てることが要求される検査となります。 自らの行動を計画し、情報を組織化して系列立て、自己監視および修正する能力が必要となる検査です。

7.DEX;Dysexecutive questionnaire

日常生活上の遂行機能の障害を検出するための20項目から成る質問紙です。 「まったくない」 から「ほとんどいつも」の 5 段階 で回答します。 本人用と家族用があり、各々の質問項目には、「先のことを考えたり、将来の計画を立てたりすることができない”計画性の障害”」「人前で他人が困ることを言ったりやったりする”脱抑制”」「ものごとを決断できなかったり、何をしたいのか決められなかったりする”判断能力の欠如”」 「自分の行動を他人がどう思っているのか気づかなかったり、関心がなかったりする”社会的規則への無関心”」など、「行動」「情動」「認知」に関する障害内容が含まれており、遂行機能に関する具体的な問題が評価できる質問用紙となっています。

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