病識欠如に対するリハビリテーション

病識欠如とは

GDJ / Pixabay

病識欠如とは、その病気にかかっていることに自覚がない状態を指します。
脳血管障害で起こりうる症状である高次脳機能障害のひとつですが、認知症でも起こってくる症状でもあり、非常に厄介な症状です。

高次脳機能障害とは、『見えない障害』と言われることもありますが、脳機能に障害が起こることによって、外見ではわからないところ…動作・思考・感情などに問題が起こってくる障害を指します。

これらは本人が気づいていないことが殆どで、すぐに物事を忘れたり、見落としたり、感情の起伏が激しくなったり、まとまった考えが出来なくなったりしてしまうため、周囲の人が戸惑うことが多いです。
また、周りの人たちが間違った知識でその人がおかしくなったと言うこともあり、本人もショックを受けたり納得ができなかったりして逆上したりするといった問題が起こることがあります。

自分自身の状態に対して認識するための脳機能に障害が起こるためこういった症状が現れますが、そういった状態を認めたくないというような心理状態にも注意を払う必要があります。

自身に起こっているそういった症状が病的であるという認識がないため、社会適応力も下がります。周りの人ともうまくコミュニケーションが取れなくなったり、周りの人のことが信じられなくなります。

自分が病気だと思っていないため、サポートするような道具、例えばメモやチェックリストなどを準備しても、うまく使いこなすことは出来ません。

病識欠如へのリハビリテーションアプローチ

病識が欠如している患者さんは、自分自身の認識低下や病的なエラーに気付くことが出来なくなっている状態のため、まずはそれに気付いてもらわなければいけません。

そのためには実際にその状況を体験することが一番です。
病識を持つための実体験をし、その場で間違いを正しくフィードバックしてあげることが大切です。これをリアルフィードバックと言います。

適切なタイミングで正しいフィードバックを行うことで、少しずつ自分の間違いに気付くきっかけを作れます。しかし、これらのことを社会生活の中でいきなり行うのはとても難しいです。そのために、リハビリテーションという訓練の場で、リハビリを通して体験していくことが必要です。訓練という経験の中で、自分の病的な部分を少しずつ認識し、そのために何が必要なのかということを知っていくことは、社会生活をスムーズに行うためにも大切な一歩です。

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