異常歩行の種類

中枢神経疾患による麻痺性歩行

中枢神経疾患による麻痺性歩行は下記のとおりです。

ぶん回し歩行

  • 下肢の伸展痙性のために振り出しが困難で、骨盤の挙上とともに外方へ分回して振り出す歩行をぶん回し歩行いいます。
  • 脳卒中片麻痺にみられ、足部の内反尖足や立脚相での反張膝なども同時に現れることが多いです。

はさみ足歩行

  • 両側の股関節屈曲・内転・内旋位、膝関節屈曲、足部内反尖足位で両膝が交叉しながら歩行をはさみ足歩行といいます。
  • 脳性麻痺児の痙直型両麻痺にみられ、立位を保持するために骨盤の前傾、脊柱の過伸展、上肢の挙上などが同時に現れます。

小刻み歩行

  • 前屈姿勢で体幹の回旋がなく、歩幅が短く小刻みに歩く歩行を小刻み歩行といいます。
  • パーキンソン病にみられ、第一歩が出にくい、また一歩が出た後は重心の前方移動を制御できずに突進現象が現れます。

酪酎歩行

  • 体幹の動揺が激しく、振り出しが不規則で歩幅・歩隔が不定に広くした不安定な歩行を酩酊歩行といいます。
  • 失調症にみられる歩行です。

末梢神経疾患による麻痺性歩行

末梢神経疾患による麻痺性歩行は以下のとおりです。

大殿筋麻痺歩行

  • 踵接地期に骨盤と体幹が後方に引かれ、立脚中期にかけて体幹が折れ曲がるように歩く歩行を大殿筋麻痺歩行といいます。
  • 代償性大殿筋麻痺歩行:踵接地後、立脚中期に重心線が股関節の後方を通るように健脚で骨盤を前方に押し出すようにして歩く歩行を代償性大殿筋麻痺歩行といいます。

中殿筋麻痺歩行

  • 立脚中期前後で対側の骨盤が落下(下制)しながら歩くを中殿筋麻痺歩行(トレンデレンブルグ歩行)といいます。
  • 代償性中殿筋麻痺歩行:立脚中期前後で骨盤が落下しないように体幹を立脚側に慣]屈(デュシェンヌ徴候)しながら歩く歩行を代償性中殿筋麻痺歩行といいます。

大腿四頭筋麻痺歩行

  • 立脚相で膝折れ防止のために大体前面を押さえながら歩く歩行を大腿四頭筋麻痺歩行といいます。

全脛骨筋麻痺歩行

  • 遊脚相で足関節背屈が保持できないため、膝を高く上げて振り出す。また踵接地期が消失し足底全体で接地する歩行を全脛骨筋麻痺歩行(鶏状歩行)といいます。

関節拘縮による異常歩行

関節拘縮による異常歩行は以下のとおりです。

股関節拘縮

  • 屈曲が制限される場合には、遊脚相に移行するときに骨盤を後傾して下肢を前方に振り出すようになります。
  • 伸展が制限される場合には、立脚中期以後に腰椎の前弯増大と骨盤が前傾してしまうようになります。

膝関節拘縮

  • 30°以下の伸展制限では立脚相の歩行速度が速くなり、30°以上になると踵接地が困難になります。
  • 30°以下の屈曲制限では振り出しで下肢が体幹直下を通ることが困難になり、分回しをするか、健脚の伸び上がりをするようになります。

足関節拘縮

  • 背屈制限がある場合は、遊脚相で膝・足を高く持ち上げて歩くようになります。
  • 底屈制限がある場合は、立脚相が短くなります。
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