「朝、子どもが着替えや歯みがきになかなか取りかかってくれなくて、時間ばかりが過ぎていく…」 「テレビやおもちゃに気を取られて、全然準備が進まない!」
子育てをしていると、特に忙しい朝の時間に、こんなお悩みを抱えることはありませんか?
発達障害のあるお子さんの場合、集中を持続させたり、手順通りに物事を進めたりすることが苦手な特性から、朝の支度に時間がかかってしまうことがよくあります。
でも、焦る必要はありません。大切なのは、その子に合った方法を見つけ、生活スキルを身につけて自立できるようサポートしていくことです。
今回は、お子さんの「できた!」を増やし、自信を育むための具体的な「手助け」と「工夫」のヒントをご紹介します。

なぜ時間がかかるの? 原因を探ってみよう
まずは、なぜ時間がかかっているのか、お子さんの様子をじっくり観察してみましょう。
- 気が散りやすい?:テレビの音、おもちゃ、他のきょうだいの動きなど、周りの刺激に気を取られていませんか?
- 手順がわからない?:「着替える」という一連の流れの中で、次に何をすればいいのかわからなくなっていませんか?
- 手先の動きが難しい?:ボタンを留める、靴下を引っ張り上げるなど、細かい動作につまずいていませんか?
- やる気が出ない?:「やりなさい!」と叱られることが多くて、意欲を失っていませんか?
原因が見えてくれば、それに合わせたサポートがしやすくなります。
工夫①:やることを「見える化」する!
次に何をすればいいのかわからない、集中が途切れてしまうお子さんには、視覚的なサポートが効果的です。
「つぎにやることカード」 朝の支度の手順(例:①顔を洗う ②Tシャツを着る ③ズボンをはく ④靴下をはく ⑤朝ごはんを食べる ⑥歯をみがく)を、イラストや写真を使ったカードにします。
- カードを順番に並べて提示する。
- 終わったタスクのカードは、裏返したり、箱に入れたりするルールを決める。
こうすることで、次に何をすればいいのか一目でわかり、見通しを持って取り組むことができます。一つ一つのタスクをクリアしていく達成感も味わえます。
工夫②:つまずきやすいポイントを具体的にサポート!
【ズボン・パンツをはくとき】
- 安定した姿勢で: まず椅子にしっかり座ることから。「じょうずに座れたね」と声かけを。
- 裾の引っかかり防止: 親御さんが裾を一緒に持って、「足を入れるよ」と声をかけながらサポート。
【靴下をはくとき】
- 履きやすく準備: 靴下を足首のところまで広げておいてあげる。
- 部分的な声かけ: 「かかとを入れるよ」など、動作を分解して声をかける。
- 前後ろがわかるように: 靴下のつま先やかかと部分に目印のマークをつける。
このように、具体的な動作をサポートしたり、環境を整えたりすることで、お子さんは「自分でできた!」という感覚を得やすくなります。
工夫③: 気を散らすものへの対処法
歯みがきをしないといけないのに、テレビを見てしまう…そんな時は、無理やりやめさせるのではなく、意識を切り替える工夫を。
- まずは声かけ: 「これから歯をみがこうか」と優しく声をかけ、洗面所に誘います。
- 選択肢を与える: 「どの歯ブラシ使う?」「どの味の歯磨き粉がいい?」など、本人に選ばせることで、歯みがきへの意識を向けさせます。
この繰り返しで、「食事が終わったら歯みがき」という習慣が身についていきます。これは片付けなど、他の生活習慣にも応用できます。
何よりも大切なのは「ほめる」こと!
親御さんは、つい「できないこと」に目が行きがちです。「どうしてできないの?」と叱る前に、まずは**「できたこと」を具体的に、たくさんほめてあげてください。**
「歯ブラシに歯磨き粉、自分でつけられたね!すごい!」 「今日はシャツを裏返しに着なかったね!えらい!」 「靴下、最後まで自分でひっぱれたね!がんばった!」
どんなに小さなことでも構いません。「できた!」という達成感が自信につながり、「次はもっとがんばろう」「自分はもっとできるはず」という意欲を育てます。
ほめることで、お子さんは前向きな気持ちで生活習慣に取り組めるようになり、結果としてスムーズな習慣化につながっていきます。
まとめ
朝の忙しい時間、お子さんの支度がなかなか進まないと、親御さんも焦ったり、イライラしたりしてしまうかもしれません。でも、そんな時こそ、お子さんのペースに合わせ、一つ一つの「できた!」を一緒に喜ぶ姿勢が大切です。
今回ご紹介した「見える化」「具体的なサポート」「たくさんほめる」といった工夫を取り入れながら、ぜひお子さんに合った方法を見つけてみてください。焦らず、根気強くサポートを続けることで、お子さんは着実に生活スキルを身につけ、大きな自信を得ていくはずです。
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