「早く起きて!」「もう時間だよ!」 毎朝、なかなか起きてこないお子さんとの格闘に、ため息をついているパパ・ママも多いのではないでしょうか。特に、発達障害のあるお子さんの中には、感覚が過敏だったり、見通しを持つのが苦手だったりして、朝起きることに強いストレスを感じる子も少なくありません。
無理やり布団から引きはがしたり、大きな声で叱ったりすると、その場では起きたとしても、機嫌が悪くなってしまい、朝の準備がさらに大変になる…なんてことも。親子で笑顔で一日をスタートしたいのに、朝からヘトヘトになってしまいますよね。
今回は、発達障害のあるお子さんを持つご家庭でも実践しやすい、朝の「起こし方」のヒントを3つのアプローチにまとめてご紹介します。

無理やり起こすのは逆効果かも?
まず大切なのは、「起きられた」という事実そのものを認めてあげることです。
理想は早寝早起きかもしれませんが、あまりこだわりすぎると親子ともに疲れてしまいます。生活リズムはもちろん大切ですが、「時間通りに起きられなかった」とネガティブになるのではなく、「今日も起きられたね!」とポジティブな声かけから始めてみませんか?
急に体を揺さぶられたり、大声で起こされたりするのは、多くの子どもにとって不快な刺激です。特に、触覚や聴覚に過敏さのあるお子さんにとっては、それが大きな苦痛になってしまうことも。まずは、お子さんが嫌がる起こし方を避けることから始めましょう。
朝の目覚めをサポートする3つのアプローチ
【アプローチ1】不快な刺激は避けて。「視覚」で優しく起こそう
聴覚や触覚への強い刺激が苦手なお子さんには、「視覚」に訴える方法が有効な場合があります。
- 部屋の明るさを調整する: 起きる時間に合わせて、少しずつカーテンを開けて自然光を入れたり、タイマー式の照明を使ったりする。
- 見通しを持たせる: 「朝ご飯を食べる」「着替える」「歯を磨く」といった朝の活動を、絵や写真カードにして順番に壁に貼っておく。
- 予告する: 「〇時になったらカーテンを開けるね」「〇時に好きな音楽をかけるね」など、事前に起こし方を伝えておくと、心の準備ができます。
お子さんの特性に合わせて、心地よい目覚めを促す方法を探ってみましょう。
【アプローチ2】習慣になるまで、根気よく。優しい「声かけ」を続けよう
睡眠のリズムが整っていないことも、朝起きられない原因の一つです。まずは、お子さんにとって快適な寝室環境(光、音、温度、湿度、寝具など)を整えることから始めましょう。
その上で、朝は根気強く声かけを続けることが大切です。
- 具体的な時間を伝える: 「あと10分で起きようね」「長い針が『6』になったら起きる時間だよ」など、分かりやすく伝えます。
- 穏やかに、でも着実に: 時間になったら、「〇時だよ、起きようか」と優しく声をかけます。一度で起きなくても、イライラせずに繰り返しましょう。
- モチベーションを上げる工夫: ごほうびシールなどを使って、「起きられた!」という達成感を積み重ねるのも良い方法です。
大人が「早くして!」と焦る気持ちはぐっとこらえて、穏やかな声かけを心がけましょう。
【アプローチ3】「できた!」をたくさん見つけて、しっかり「ほめる」
たとえ時間がかかったとしても、お子さんが自分の力で起き上がれたら、まずはそのことをしっかり認め、ほめてあげましょう。
- 肯定的な言葉かけ: 「おはよう!」「よく起きられたね!」と笑顔で伝えます。ほめられる経験は、次への意欲につながります。
- ポジティブな見通し: 「今日の朝ごはんは好きな〇〇だよ」「今日は公園に行く日だね」など、その日の楽しみを伝えてワクワク感をプラスするのも効果的です。
- プロセスもほめる: 起きた後の着替えや朝食などがスムーズにできたら、その都度「自分でできたね!すごいね!」と具体的にほめましょう。
「できて当たり前」ではなく、一つ一つの「できた!」を大切にすることで、お子さんの自信を育むことができます。
プラスαのヒント:朝が楽しみになる工夫
- 興味関心を活用する: お子さんの好きなこと(天気予報を見る、植物の世話をするなど)を朝の習慣に取り入れ、起きるきっかけにする。
- 達成感を可視化する: できたことリストやチェック表などを作り、達成感を「見える化」するのもおすすめです。
夜の過ごしも大切
朝、すっきりと起きるためには、夜の過ごし方を見直すことも重要です。夜更かしをすれば、朝起きるのがつらくなるのは当然です。まずは早寝の習慣をつけ、十分な睡眠時間を確保できるよう、就寝前の環境やルーティンを整えていきましょう。
おわりに:親子で笑顔の朝を迎えよう
毎朝のことだからこそ、親も子もストレスなく、気持ちよく一日をスタートしたいですよね。
今回ご紹介したヒントは、すぐに効果が出るものばかりではないかもしれません。でも、お子さんの特性を理解し、その子に合った方法を根気よく続けていくことで、きっと変化が見られるはずです。
何よりも大切なのは、お子さんの「できた!」を認め、肯定的な言葉で関わること。大変なことも多いですが、焦らず、お子さんのペースに合わせて、親子で笑顔の朝を迎えられるよう、試してみてくださいね。
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