メタ記憶とは?
メタ記憶とは、自分の記憶能力について認識することを言います。心理学では、『記憶についての記憶』とも言われています。自分自身がどのように考え、どのようにその情報を認識し、判断したか等といった情報をきちんと認識し記憶していることです。
例えば、「あの時は○○と思ったけれど、今は△△と思う」といった思考に対する記憶だったり、「□□に関することなら一度覚えたことは忘れない」というような自分自身の記憶能力についての認識などがメタ記憶に当たります。
メタ記憶に問題が起こってくると、自分自身の記憶能力についての正しい認識が出来なくなるため、様々な弊害が現れてきます。自分がどれくらいの量ならば記憶出来るのか、覚えきれないのであればどういった手段を取るのが最適か…といった判断や、今までの記憶の中にその事象に関わることがあるのかどうか…というような知識がわからなくなってしまいます。
客観的に見ると、記憶障害があるのは明らかなのに、本人にその自覚がない場合は、このメタ記憶の障害が起こっている可能性があります。
メタ記憶障害がある人への対応ポイント
メタ記憶障害は、明らかに記憶力に問題が起こっているにも関わらず、自覚がないことがほとんどな障害のひとつです。
そのため、最初に本人に記憶障害が起こっていることを認識してもらわなければなりません。
しかしながら、自身が記憶障害をおこしていると気付いていないため、こちらから指摘をしたところで納得は得られにくいです。
では、このような症状の人に対しての対応としてはどうしたら良いのでしょうか。
そもそも、脳に損傷を受けると、大なり小なり一時的だったりもしますが、記憶に障害が起こりやすいのは確かです。なので、そういった情報を事前に話しておくと、現状についての説明を少しでも受容しやすくなるでしょう。
記憶障害が起こりやすいという事実を分かってもらった上で、自身の記憶障害について一度自分で体験してみるのが一番認識しやすいです。
例えば、何かを忘れてしまっているというタイミングで、脳損傷前と比べて記憶しにくくなっているという事実を伝えてあげます。
ご本人としては、最初はそれを指摘されたことに対して違和感を覚えるかもしれませんが、だんだん自身の記憶障害について気付く時がやってきます。
その気付きがとても大切で、自分の障害について認識するための第一歩です。
同時に、それに対しての対応方法(メモを取る・日記を書くなど)を、周囲の人達がきちんと指示してあげましょう。
まずは周囲の人達がその気付きを促してあげるような状況にすることを意識してください。
記憶障害の対応の多くは、周囲が意図的に間違えてしまうような環境を作り、その体験から自身の障害を認識してもらうようにすることが多いのですが、そういった学習法は、ある程度の記憶力が保たれていないと難しいです。
重度の記憶障害の場合は、気付きを与えるような環境や状況を作り出してもそれを忘れてしまうことが多々あります。その為、間違いの体験ではなく、正しい体験を反復するような方法で記憶していってもらうように対応していきましょう。