MAS 改訂版アシュワース尺度

MAS 改訂版アシュワース尺度とは

Modified Ashworth scale( 以下、MAS)は、痙縮を定量的に評価する検査です。 対象者は、脳血管障害や脊髄損傷患者となります。医師、理学療法士、作業療法士が主に評価をお行います。 MASは、四肢の関節を、徒手的な他動運動の抵抗量によって6段階で評価でき、道具を使わずにベッドサイドでも簡単に評価することができます。また、簡便で、道具を使用せず評価できる点がメリットです。 その反面、痙縮と拘縮の区別があいまいなこと、他動運動の速度や姿位についての細かい基準がないことがデメリットとなります。

評価の方法

MASの内容

0:筋緊張の亢進はない

1:軽度の筋緊張亢進あり

屈曲・伸展運動で、引っかかる感じと消失感を受ける, もしくは最終可動域で受けるわずかな抵抗感がある

1+:軽度の筋緊張増加あり

明らかに引っかかる感じがある もしくは可動域 1/2 以下の範囲で受けるわずかな抵抗感がある

2:はっきりとした筋緊張の増加あり

全可動範囲で受けるが、容易に可動させることは可能である

3:かなりの筋緊張増加あり

他動運動は困難である

4:患部が固まり、屈曲・伸展ができない

MASの手順

平らな治療台上で仰臥位をとらせます。

上肢は体幹に沿わせ、前腕は回内外中間位、下肢は伸展位にして測定部位を露出する一方の手で、対象となる関節の遠位肢遠位端を軽く把持します。

もう一方の手で、筋活動を妨げないように固定するようにします。

片手で把持することが困難な下肢などは、両手で把持しても良いです。

関節が不安定にならないように十分配慮する速度を変えて、数回、デモンストレーションを行い、あらかじめ痙縮の有無を確認する必要があります。

また、他動運動時に痛みを訴えるか否かを確認する測定を開始します。

最大限可能な筋短縮角度から、最大限可能な筋伸張角度まで、1 秒かけて動かすことを意識してストレッチを行います。

これを数回繰り返す検査結果を速やかに記録するようにします。

MASでわかること

痙縮は、ADL や歩行能力など、リハビリテーションを行っていくうえで阻害要因となることが多くなりまえす。そのため、痙縮の程度を把握するうえでよく使用される本評価を知っておくと、その対応に多少なりとも役立てることがでいます。

また、筋弛緩薬などの薬物療法、神経ブロックなどの治療の効果判定に本評価が使用されることが多いと言われています。

MAS 評価マニュアル

評価部位・運動方向と肢位の説明(下表は患側が右、検者は右利きと想定しています。)

  1. 被検者肢位は、原則として腰掛け座位(端座位)で行い、下肢では背臥位で行うのも可とします。
  2. 検者の動作手(上肢)は右手とし、支持・固定するのは左手とします。
  3. 痛みや拘縮などのある場合は、検査肢位に近い安楽な肢位で行うことができます。
  4. 多関節筋の作用をできるだけ除く肢位で行います。

測定回数・測定スピード

  1. いずれの部位も 3 回の測定を行い、最も低い値を採用する
  2. 他動運動による筋抵抗の測定のため、他動運動の速度がキーとなる。およそ 80°/ 秒といわれるが、客観的な方法はないため、slow speed が望ましい(目安は 1 秒で完了する)

評価関節(評価筋)

肘関節(肘関節屈筋)

測定運動:伸展

検者 右手:被検者の手関節を掌側からつかみます。 左手:被検者の上腕遠位部を支持します。

被験者 肩関節は内外旋中間位とします。前腕は回内・回外中間位としあす。

手関節(手関節掌屈筋)

測定運動:背屈

検者 右手:被検者の手の掌側を包み込むようにつ かみます。(手指にかからない)  左手:被検者の前腕遠位を背側から支持します。

被験者 前腕は回内位とする

膝関節(膝関節伸展筋)

測定運動:屈曲

検者 右手:右下腿遠位を前面からつかみます。

左手:右大腿前面遠位を固定します。

被験者 膝関節は屈曲位とします。

足関節(足関節底屈筋)

測定運動:背屈

検者 右手:足底(MP 関節部)をつかみます。

左手:右下腿遠位を固定します。

被験者 膝関節を屈曲位(30°)で行います。

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